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何もすることがなくて。 嫌な気分。 だから、あたたかな気配が近づいくるのがわかって少し気持ちが浮上した。 「お、暇そうだね、少年」 目の前に飛び出した、ヒト。 「そのバケツ何?」 「花火しよう、線香花火!」 かたりと置かれたバケツをのぞけば、ライターと線香花火。 「んじゃ、ちょっとこれ持っててね。水汲んでくっから」 ほいほいと花火とライター手渡される。 「俺、そんな気分じゃない」 つぶやく。 「見てるだけでいいよ。見るのも嫌?」 「……ううん」 あたたかなあなたの傍にいたい。 水を張ったバケツ。 たよりない線香花火を持って、ライターで直接火をつける。 蝋燭は?聞いたら、明るすぎて風情が出ないって。 やがて火花が散りだして洸(ほのか)にあたりを照らす。 ひゅ…と、突然花火が消えた。 「あっ……」 赤い花火の光になれた眼は、急な暗闇についていけない。 「うーん、なかなか最後までってのは難しい」 残念そうに手の中に残った、花火だったものをバケツに放ったのがぼやけて見えた。 「ねぇ」 「俺もしたい」 やりたくないといったのに。 手渡された1本の花火に火がついた。 小さな振動が指先を揺らす。 「知ってる、悟空?」 「何を?」 大きく弾けだす火花を慎重に見守りながら答える。 「線香花火を最後まで燃やしつくしたら、恋愛が成就するって」 ぽとり。
珠は落ちた。
また暗闇が――。
「そんなの迷信だろ」 手の中の花火の残骸が、湿ってる。 「かもしれない」 「迷信だよ」 なかなかバケツに放り込めない、ただの紙屑。 「違ったら――?」 なんで、 「――もう一本くれっ!」
何度も暗闇と洸な明かりが交互に訪れる。 迷信なんだ。 「最後、だよ」 手渡された花火に祈る。 どうか、最後まで、綺麗に咲いて――。
「暇じゃなくなったでしょ?」 かけられた声に顔を上げる。 花火が咲き続けている。 「成就するといいね」 想いも咲いて――。 「うん」 最後の線香花火は、最後までゆっくりとその身を燃やした。
暗闇がもどってきても、そこにはもうあの日の寂しさはない。 「なぁ――」 「ん?」 線香花火。 迷信なんかじゃ、ないよな。
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久しぶりにSSを書いてみました。 しかも何を思ってか、「最遊記」の悟空視点で相手は勝手に作って出しちゃったり(爆) 少し前にドリー夢小説を散々書き散らしてしまって、その名残です。 だから、相手は基本的に全て“あなた”に設定してお読みくださればよろしいかと。(^^; 季節外れの線香花火。 ちょうどこの話を書いたのが9月の中ごろ。 そのとき高校の友人と集まって公園で花火をしたばかりでした。 それがすごく印象深くて、夏の最後!って感じがして、素敵だと思ったのです。 線香花火の迷信、皆さん知ってますよね? あれ、恋愛成就じゃなくて願いが叶うでしたか? まぁいいや。もう書いちゃった後だし(笑) なんだか嬉しくてせつなくて、ちょっと泣きたくなっちゃう気分になってもらえたら幸いです。 実は、三蔵と八戒のも書いてたりするのでそのうち上げようと思います。 やっぱり相手は“あなた”でお読みくださるのを、激熱望!(笑) 2003.10.10 |
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