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気配を絶とうとしない足音に張った気が少し緩む。 足音が近くなって不意に途絶える。 「風邪ひくよ、三蔵」 「…んなヤワじゃねぇよ」 「ヤワとかヤワじゃないとかじゃないの。風邪は人類のとってもっとも身近で親しい大病よ?」 顔を上げる。 「…濡れるだろ」 「そう思うのならこんなところにいないでよ。雨宿りできそうな軒下だってないじゃない」 「俺の勝手だろ。おまえがここに来る必要はない」 「私がどこへいこうとそれは私の勝手よ」 淡々と切り返して、そいつはもう一度傘を差し出して、俺に無理やり握らせる。 「――迷惑、だった?」 不安に揺れる声を洩らす。 「別に――」 どうでもいい返事しか返せない自分に舌打ちする。
雨の夜、温かい記憶は両手と体を染め上げたお師匠様の血。
のに。 それなのに、
「おまえ、風邪をひくぞ」 しとどに濡れたシャツはもう水分を吸えなくて、雫をこぼす。 「うん。もうひいてる」 あっさりと返ってきた返事に呆れと怒りが湧いた。 「なっ…莫迦っ!」 掛けられていたタオルを取って濡れた肩を包む。 「ひどくなるだろーが」 「別に風邪ひくのなんてしょっちゅうだから、自分の体調くらいわかってる。平気」 「“風邪は人類のとってもっとも身近で親しい大病”なんだろ。自愛しろ。帰るぞ」 「でも、三蔵、――」 「今は俺のことよりおまえのことだろう!」 つかんだ腕の熱っぽさと、それでも俺を気遣ってくれるその馬鹿みてーな人の良さに腹が立つ。 だから、 「ごめん、ありがとう」 つぶやいた声ににやけた自分はもっと馬鹿だ。
数時間後。 あいつはやっぱり熱を出した。 俺は咽喉をさする。 やっぱりさっきのがいけなかったのか。 あいつは明日けろりとして言うだろう。 「やっぱり風邪ひいたじゃない」 ヤワいんじゃない。 反論したくてもできないがな。
風邪をひいた本当の理由を言ったら怒るに決まっているのだから。
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そのうちとかいいつつ、ちゃっかり同じ日にアップすることになりました。 三蔵編です。(変換したら「三蔵変です」と出たので笑った) 本作の"雨"エピソードを入れての、名前変換のないドリー夢小説です(苦笑) ちゃっかり悟空よりも先に仕上げてました。 このときは風邪引いてたんですよね、私が。 んで、「あー三蔵に構ってもらいてぇー」というヨコシマな理由から、仕事中に書いてました。何をやってるんだという感じですが、私も読み返してみてエラいハズカしいので許してください(^^; 三蔵が風邪を引いた理由――ってのは、なんだか一昔前の少女漫画のようですねー。 まぁ・・・お坊さんですからね。(ヴォーカルアルバム2の八戒口調で:笑) 次はその八戒でいきまっす!! 設定はやはり“あなた”ですよv 次は痛いので覚悟してくださいねー☆ 2003.10.10 |
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